ここでは新しい習慣を取り入れて習慣化に成功する為の重要な考え方と
良い習慣を持続するために必要な3つの方法をご紹介します。
- 禁煙したい
- ダイエットを続けたい
- 早起きの習慣をつけたい
- 色々初めてもなかなか続かない
といった習慣化につまづいている方の参考になればと思います。
ご紹介するのは
ロンドン大学(UCL)の認知神経科学の教授 ターリ・シャロットさん ( Tali Sharot ) の
TEDトーク ” How to motivate your self to change your behavior “
どのようにして習慣を変えるモチベーションを上げるか?”の内容です。
それでは、どうぞ!
結論:習慣化を成功させモチベーションを維持する方法
まず結論から、
もしあなたが何か悪い習慣を断ちたい、よい習慣を取り入れたいと思ったら
- 新しい習慣によって起こるよい事をイメージすることが一番効果的です。
やりがちな間違いは、それを行わないと悪いことが起こると恐れを与えることです。 - 人間は自分に都合の悪い情報には目をつむり、よい情報だけを取り入れる性質があるからです。これは生物学的にも証明されている事実です。
- そして新しい習慣を定着させるための方法論として大事なことは3つ
「社会的なインセンティブ」、「すぐにご褒美」、「進捗確認をすること」です。
これらを活動の中にうまく盛り込むとよりモチベーションが保たれ、結果がでやすくなります。
それでは具体的に解説していきます。
習慣を変えるに恐怖を与えても効果は限定的
まず、よくありがちな思考を考えてみましょう
ダイエットをしていて間食をを辞めたいとき
「 間食をしたら太るからだめ!」と自分に言い聞かせる。
子供が喫煙を始めたら
「 体に悪いからやめろと! 」と叱りますよね。
どちらも現在の習慣を変えないと、何か良くないことが起こるからやめろ!と人の「恐れ」を使って習慣を変えようとしているんですね。ある意味、脅迫と言ってもいいでしょうか。
ついやってしまいがちですし、なんとなく効きそうですが実は科学的な証明によると恐怖を与えることによって習慣を変えるには限度があります。
研究結果の中には逆効果になったこともあります。
タバコのパッケージには、健康被害の警告や国によってはインパクトの強い写真が載っていますね。一説にはこういった警告が喫煙者にもっとストレスを与えていて、そのストレスによって喫煙者は禁煙するどころか、余計にタバコをすってしまうといいます。
写真を見てこうはなりたくないから、やめよう とはならないのですね。
恐怖は行動を抑制する
生物学的に考えても恐れで行動を変えるのは難しいです。
なぜなら動物に恐怖を与えると彼らの多くは通常 固まるか、逃げるか どちらかの行動に出ます。何か新しい行動には結び付きません。
人間も同じです恐怖を感じた時は縮こまり、嫌な気持ちをから逃げようとします。
ただ動物のようにわかりやすくその場から逃げるのではありません。
嫌なことから逃げるため、そして逃げる自分を正当化する為の理屈を作ります。
自分のおじいちゃんは死ぬまでタバコを吸っていた。だから僕は遺伝子的に癌にはならないから大丈夫とか健康ばかり気にして生きても面白くないじゃないかとか。
そしてこの逃げるため理屈作りや自分の正当化のプロセスは悪い習慣を止めるどころかそれをもっと強固なものにしてしまいます。
他にも恐怖へのリアクションとしてあるのはその悪い事実から目をそむけることです。
投資家の行動をおった研究があります。
相場の良し悪しと投資家が自分のネット口座をどれだけ頻繁に確認するかを追った研究です。
結果、相場がよく儲けが出ている時は投資家は何度もウェブサイトの口座をチェックします。自分の資産が増えてうれしいからです。
ところが相場が悪くなると彼らがログインする回数は極端に減ります。多くの投資家が自分の資産が減っている現実から目を背けるのです。そして気づいた時には2008年のリーマンショックが起きたのです。
人は嫌な情報は見ようとしません。
人は自分に都合のよい情報を信じる
ではどんな情報が人々に届くのでしょう
私たちは被験者100人を集めてある実験をしました。将来起こり得るネガティブな情報を80個用意して、それについて尋ねました。
例えば
あなたが将来耳が遠くなる確率はどのぐらいだと思いますか?と尋ねます。
ある被験者は50%と回答しました。
これに対して専門家の意見を追加します。
専門家Aは60%
専門家Bは40%と答えます。
すると被験者は自分では50%と言っておきながら、40%と楽観的なアドバイスをした専門家のことを信じたのです。
人は自分の意見よりも、自分にとって都合の意見を信じるのです。都合が悪い意見はそれが専門家であっても無視します。
年齢別でも調査しましたが10歳から80歳までどの年齢においてもポジティブな情報から学ぶほうが身につくという結果になりました。逆にネガティブな情報から学ぶと言うことに関しては子供と年寄りはとても苦手、40歳が一番上手という結果になりました。
人々は見たい自分を見ます。
自分に都合の悪い事実を受け止めるのは得意ではありません。
モチベーションを維持する3つの方法
人は自分にとって良い情報に耳を傾けます。
ですので、ネガティブなことでなく、ポジティブな情報に目を向けて成長を促すことが習慣化を成功させる秘訣です。
そして新しい習慣を継続させるモチベーションの維持に役立つ方法が3つあります。
3つの事象
まずはこの3つの事象をご紹介します。
病院での手洗いについての研究結果
病院にいるスタッフは普段から患者の部屋に入る時と出るときに、手を洗うよう指導されていますが、実際には10%ぐらいしか行われていませんでした。
そこでスタッフが手洗いをしたらポイントが付くような電子ボードを設置しました。手洗いをしたらどんどんポイントが加算されるのです。それぞれのスタッフのポイントがグラフで見えるようになっています。
すると、手洗いの実施率が90%を超えました。
イギリスの税金の徴収
イギリスでは税金を中々払わない滞納者の扱いに困っていました。
これまでどれだけ催促や支払いの重要性を説いてもなかなか効果がありませんでした。
そこで政府は請求書にある一文を加えましたそれは
「 90%の人々が決めたら期日内に税金を払っています 」と言う文言です。
すると、これにより税金の回収が15%増加しました。
アメリカの電気料金の請求書
アメリカの電気料金の請求書には自分の消費電力量とその料金のほかに
近所の人の電力消費量の平均値
一番消費量が低い(環境によい)人の数値
平均値とくらべ自分の電気消費量の評価が😊マークで表示されています。
① 社会的インセンティブ
習慣化のモチベーションを保つための方法。
一つ目は社会的インセンティブです。
手洗いの研究では電子ボードの自分の名前のところにポイントが付くこと、そしてそれが一目にさらされていることとが効果をあげました。
税金徴収についても、周りの人がみんな期日内に払っているのに自分はやらないわけにはいかない。という心理が働いたのです。
人は誰もがみんなやっていることはやりたいと思います、そしてできればその中で平均より上に行きたいと言う気持ちがあります。これは私達の脳の機能の一つです。
自分の周りの人がどのように活動しているか、どのような結果をだしているかということを知らせる事は人にとても強く働きかけます。
② すぐに報酬をだす
2つ目は行動に対してすぐに報酬をだすということです。
手洗いの研究では自分が手を洗えばすぐにポイントがもらえて、加算されました。被験者は自分が良いことをしたことがすぐに可視化され、周知されるのです。
電気料金では省エネできるとニコちゃんマークがもらえます。
私たちはすぐにもらえる報酬に弱いです。
将来的にもらえる大きな報酬より今すぐ目の前にある小さな報酬を選ぶ傾向にあります。
もちろん将来の事は大事です。
将来お金持ちになりたい、将来この夢を叶えたい。
そしてそれに対して必要な努力と言うのを理解しています。
ただ将来はとても先の話で不安定で不確かなものです。それよりも今目の前にある確実な報酬、これを手にすると言う事は論理的にも正しいです
③進捗のモニタリング
最後は進捗のモニタリングです。
進捗を確認することで、自分がどんどん良くなっている、できていると言うことを認識できます。
手洗いの研究ではポイントが加算されていくのが目に見えてわかります。電力請求書も同じです。
私たちの脳はポジティブな情報が今後どのような結果をもたらすかというプロセスについては上手く想像できます。ただネガティブな情報が今後どのような影響与えるかと言うプロセスについてはうまく処理できないのです。
ですので誰かに何かを伝えたい時は起こりうるネガティブなことよりも、起こりうる良いシナリオを伝えた方が良いのです。
例えば未成年が発生していたらタバコをやめるともっとスポーツがうまくできるようになるよ、といったように止めることで得られる良い情報を提示するのです。
そしてとても大事なことは習慣やそれによる結果は自分がコントロールできると認知することです。
あなたはは自分の意思で決めて明るい未来を描けると言うことを示すことでモチベーションが上がります。
人間は元来成長を望む生き物
もしあなたが何か良い習慣を生活に取り入れたい、もしくは悪い習慣を経ちたいと思うのであれば、その行為を変えないことによる危険性に注目せずにポジテイブなことにフォーカスしてください。
恐れや不安は行動を抑制します
ワクワクするようなポジティブな感情は行動を促進します
ですので習慣を変えたいのであれば、脅迫するのでなくもっとポジティブな姿勢を取るべきです。
そして、これは人間が元来持っている「成長したいと願う力」を信じるということでもあります。
以上です。
・Pick up 英単語
Intervention : 介入
Why does this intervention Work so well?
Capitalize: 利用する
tendency: 特質
which really capitalize on the human tendency to seek progress
induce:誘導する
fear induces inaction, thrill induces action
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