ここでは「本当の自分に気づき人生をもっと幸せに生きる」ヒントが詰まったTEDトークの内容を要約してお伝えします。
紹介するのは、シャザド・チャミンさんの Know your inner saboteurs(自分の中の妨害者を知ろう!) です。
シャザド・チャミンさんは、ベストセラー作家で世界最大のコーチング組織CTIの前CEO。心理学の学位に加え神経生物学の博士号を取得し、スタンフォードで講義をしている方です。Positive Intelligence というコンセプトで公演、サービス提供もしています。
シャザドさんは自分がいまいち幸せでなかったり、仕事でパフォーマンスがでなかったりするのは自分の中の妨害者が邪魔をしているからだと主張しています。妨害者を弱めて本来の自分に立ち戻ることができれば、もっと自分らしく幸せになりパフォーマンスも向上するといいます。
TEDでは、どうやって妨害者が生まれるのか、どのように今の自分を邪魔しているのか、妨害者を弱めるにはどうすればよいのかについて解説されています。
「自分のやりがたいことがわからない」
「何をやっても結果がでない、、」
「年収は上がったけど心が満たされない」
そんな方は是非このTEDの内容を参考にしてみてください。
TEDの内容は「実力を一〇〇%発揮する方法―ポジティブ心理学が教えるこころのトレーニング スタンフォード大学の超人気講座」の要約になっていますので、TEDの内容が面白いと感じた方は書籍も手に取ってみてください。



TED動画
残念ながら日本語字幕がありませんが、話し方はゆっくりなので英語勉強中の方は本記事をみながら英語ヒアリングにもチャレンジしてみてください。
以下、TEDの内容要約となります。
*本記事の内容はあくまで筆者の意訳になりますので、ご了承ください。
人は誰もが素晴らしい存在

初めにお伝えしたいことがあります。
それは、「私は完全にうたがいなく素晴らしい存在だ」ということです。
もちろんあなたも同じように素晴らしい特別な存在です。
ただ残念なことに私の研究によると80%以上の人が、自分がどれだけ素晴らしいか、わかっていません。
以前は知っていたかもしれませんが、忘れてしまっています。
私はスタンフォードで教えていますが、研究では神経科学と心理学をベースにした広大な調査を元にしています。
まずは皆がすばらしいという証拠をお見せします。
こちらです。

いかがでしょうか?
この子は自分が素晴らしいとわかっているでしょうか。
きっとわかっていますね、輝いていますよね。

この子はどうでしょう?
毛先の先まで素晴らしさがみなぎっていますね
みんなユニークで素晴らしい存在です。誰もが最初は知っています。
それでは、この子はどうでしょう。

この子は自分の素晴らしさをもう忘れてしまっています。
これは子供の頃の私です。
ではどうやって忘れてしまったのか。

自分を見失うプロセス

私はスラム街のアパートで四人兄弟と両親と住んでいました。
父はとても暴力的で母は父を恐れ忙しく動き回っていました。
私はあまり愛されていませんでした。
ただ当時の私の人生は親にゆだねられていたので、自分の親に問題があるということを認めることなど怖すぎてできませんでした。
そして親に問題があると思う代わりに「両親は完璧だ。自分が愛されないのは、自分に問題があるからだ」と考えるようになりました。
私はこのような内なる声を裁判官(Judge)と呼んでいます。
一度自分自身をジャッジすると、自分が傷つかないように他者のことも勝手にジャッジして決めつけます。
私はいつの間にか、自分では気付かぬ間に、他人をジャッジする人間になっていました。


自分の中の裁判官

自分のジャッジ癖に気づいたのは27歳、スタンフォードのMBAクラスをとっていた時です。
12人のクラスメイトと輪になって話しをしているときに、クラスメイトの一人が言いにくそうに私にいいました。
「とても言いにくいんだけど、私はよくあなたから厳しくジャッジされている気がしていてそれが嫌なのだけれど、、」
そう言われて、私は「伝えてくれて、ありがとう。フィードバックをくれてとても助かるよ。」と丁寧に伝えました。
ただ心の中では「当たり前だろ、バカ。お前がこのグループの中で一番できないんだから!どう取り合ってほしいんだよ!」と思っていました。
その後も3人もの人が同じようにジャッジしないでくれというようなことを言ってきました。
私はその度に「伝えてくれてありがとう」と丁寧に返しながら、それでも心の中では「何言ってんだ、自分の無能さを他人のせいにするのかよ!どういうことだ」と考えていました。
とこが5人目の人が同じことを言ってきたときに私はようやく気づきました。
「なんてことだ、、彼らが正しい。
私はいつもすぐにジャッジしている。自分の中にいる裁判官が毎回出てきて他者はおろか自分を傷つけている。」
「裁判官という目に見えないキャラクター、目に見えないメガネが自分の現実を歪めているんだ」
このことに気づいたことで私の人生は変わりました。
誰の中にも妨害者はいる

私は自分の中の裁判官を妨害者(Saboteur)と呼びました。
その後私は9つの妨害者がいることを知りました。
例えば仕切り屋(Controller)、こだわり屋(Stickler)、被害者(Victim)などです。
例え幸せな幼少期を送ったとしてもか弱い子供は自分を守るために妨害者をつくりだします。
カオスの状況下で育った子は物事をできるだけコントロールしようと仕切り屋になるかもしれません。
もしくは親の注目を浴びたくて被害者を演じることもあるでしょう。
問題なのはこういった妨害者があたかもあなた本人のようになりすまして居座ることです。
妨害者は妨害者であって、あなたではありません。
なのに私たちはいつのまにか妨害者が自分だと勘違いして、本来の自分を忘れてしまいます。
妨害者と賢者

脳では絶えず妨害者と本来の自分が戦っています。
私は本来の自分のことを賢者(Sage)と呼んでいます。
妨害者(Saboteur)と賢者(Sage)では使う脳の領域が異なります。
妨害者は、サバイバー脳の領域。脳幹や大脳辺縁系、左脳の一部で形成されます。
賢者は、ポジティブインテリジェンス脳の領域。前頭前皮質、前帯状皮質、右脳の一部で形成されます。
そしてここに私たちが幸せに生きるためのヒントがあります。

そしてサバイバー脳と妨害者は繋がっているのです。
ストレスや不幸を感じるように神経化学的につながっているのです。これはどうにもならない神経化学的な事実です。
もし幸せになりたいなら、自分の中の賢者を強くして妨害者を弱くしなければなりません。
↓もっと詳しく↓

社会的な成功者も妨害者に苦しめられている

私は以前リーダーシップ開発セミナーの講師をしました。
100人以上のCEOや代表が集まりました。
みな、大きな成功を収め、とても幸福に見えました。
ただ私は経験的にエグゼクティブは表面的には自信と幸福にみえることを知っていました。
ですので、セミナーでは参加者にメモカードを配り、無記名でいいので1つだけこれまで誰にもシェアしたことのないことを書いてもらいました。
そこにはこんなことが書いてありました。
「私はリーダーとして失敗することを恐れている」
「過労とストレスで早死にするのが怖い」
「私は心に平穏を感じれたことがない」
「私はとても悲しく、寂しい。抗うつ剤もあまり効いていない」
「自分の子供とどのように接したらよいのか全くわからない」
「私は自分のことが好きでない」
「私は自分の父親のようになるのが怖い。父親は誰からも愛されずに一人で死んでいった」
いかがでしょうか。
私は企業のCEOから高校を卒業していないような人まで様々な属性の人と対話をしてきましたが、経済的豊かさや社会的な成功に関係なく、妨害者は誰の中にもいます。
誰もが妨害者に苦しめられているのです。
妨害者とは?

私は妨害者を、自立、受容、安全という動機と、主張する、勝ち取る、回避するという対処スタイルで整理しました。
上の表は9つの妨害者を示したものです。
仕切り屋(Controller)、優等生(Hyper-Achiever)、移り気(Restless)、潔癖症(Stickler)、八方美人(Pleaser)、こわがり(Hyper-Vigilant)、回避屋(Avoider)、犠牲者(Victim)、理屈屋(Hyper-Rational)。
誰でも、ジャッジする裁判官とこの9人の妨害者のうち最低でも1人を持っています。
さて、妨害者を弱める前に、まずはこの妨害者を認識できないといけません。
例えば重要なプロジェクトの途中でこのままでは失敗すると想像してみてください。
裁判官「あー自分はなんてダメなんだとう、もうこれで何もかもうまくいかない」
仕切り屋「自分のやり方はいつも正しい、誰かがミスをしたんだな、、」
犠牲者「あ〜またやられた。きっと次は雷が自分の頭に落ちる!」
潔癖症「わかった、あのレポートのカバー用紙の色がもっと青かったらよかったんだ」
回避屋「まだ時間はあるわ。昼ごはんどこにいこう?」
などなど。
もし自分の中に妨害者をみつけたら、のめり込まれる前にラベルをつけて距離を置きましょう。
「明日失敗する!!」と感じるのと
「自分のうるさい妨害者が「明日失敗する!」と騒いでるぞ」と感じるのでは
全く違います。
妨害者を表に出して、ラベルをつけることで妨害者を弱めることができます。
先ほどの状況、賢者だったらどう考えるでしょうか?
賢者と5つの力

賢者の素晴らしいところは、どんな状況であろうがチャンスだと捉えることができるところです。
この思考性がポジティブ・インテリジェンス脳を可動させます。
すると賢者の5つの力にアクセスできるようになります。
1.共感力(Empathize)
すでに状況が悪いときに、さらに自分を責めるのは、馬鹿げています。患者は弱い自分や他人に対して共感します。それによってエネルギーが出て、前向きになれます。
2.探求力(Explore)
森で夢中になって虫を見つけるように、プロジェクトが失敗した原因をくまなく発見しようとします。俯いていたり守りの姿勢に入っていては見つからない事実に気づくことができます。
3.革新力(Innovate)
ビーチで砂のお城をつくるように創造性を働かせます。ポジティブ・インテリジェンス脳は、創造性と結びついているので、創造性を使って新しい解決策を思いつくことができます。
4.方向づけ(Navigate)
自らの信念に基づいた心の羅針盤に従って様々な選択肢のなかからひとつを選んでいくこと。
5.実行力(Activate)
賢者の実行力は人を純粋な行動に導く。真的エネルギーあや感情的エネルギーが特定の行動にきれいに収束し、うちなる妨害者によって撹乱されることがなくなる。
これら5つの力を使うことにより、皆さんは恐れのない大胆な道を進むことができるようになります。
難しい局面でも、賢者はポジティブにいられるのです。

賢者の力を強める

賢者の力を使うには賢者の筋肉が必要です。
脳のMRI検査でわかった、賢者の筋肉を強くする効果的な方法は「1時間に数回、10秒間、肉体的な感覚に集中すること」です。
例えば、
仕事のパフォーマンスをあげたかったら、りんごを噛むときのカリッとという感覚と一口ずつ丁寧に味わってください。
友だちの瞳をじっくり見て、そこにある何百もある色を見つめてください。
愛する人をしっかり抱きしめ、相手の鼓動を感じてみてください。
そんな簡単なことで?と思うかもしれませんが、神経科学の研究が証明しています。
24時間の感情の記録をもとに妨害者に対して、賢者の力が強くなったかどうか、測定することもできます。

私はポジティブインテリジェンスクオシェント(positive intelligence quotient, PQ)とうい方程式も作りました。
PQがあがれば、人はストレスが減りより幸せになります。
仕事のパフォーマンスがあがることもこれまでの研究でわかっています。
売上を40パーセントのばしたり、チームのパフォーマンスが1/3あがるなどの結果が出ています。
誰でも賢者の筋肉を鍛えることができます。
誰もが特別で素晴らしい賢者

最後に愛する人の賢者の力を強めることもできるというお話をします。
私の息子キオンは、くすぐられるのが大好きです。
私は、彼が正解するまでくすぐり続けるというゲームを作りました。
そして息子をくすぐりながら、聞きました。
「キオン、どうして父さんはおまえをこんなに愛しているんだろう?」
「わかんないよ。パパ、どうして僕を愛しているの?」
「キオンがすごくハンサムだからかな?」
「違うよ、パパ。ハンサムだからじゃない」
「成績がよいからかな?」
「違うよ」
「スポーツが得意だから?」
「違う」
こうやって、彼のすばらしいところをあげていくのですが、息子は、「違うよ、パパ、そうじゃない」と言い続けます。
最後に、私はお手上げをしながらこう言います。
「じゃあ、キオン、なぜ、父さんはおまえがこんなに好きなのかな?」
するとこう言います。
「だってパパ、僕が僕だからだよ」
「パパ、僕は僕だから!」
そう。彼が本当の自分であり、賢者なのです。
皆さんはどうですか?
もし、あなたが、美しい本当の自分、賢者になれたとしたら、人生はどうなるでしょうか?あなたの愛する人やこの世界にどんな意味があるでしょうか?
あなたは特別で唯一無二の素晴らしい存在です。
そろそろ思い出す時です。

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